ヤマカン作品を観て思うこと。

僕は『フラクタル』が好きだ。『らき☆すた』もどちらかと言えば、武本監督パートより山本監督パートの方が好きだし、『戦勇。』『かんなぎ』『となりの801ちゃんR』『blossom』『宮河家の空腹』『私の優しくない先輩』、どれをとっても面白いと思いました。

だから、去年の秋クールアニメが終盤に差し掛かった頃、友人と共に来期アニメの展望について話していたとき、僕はこう言いました。

Wake Up,Girls!は面白いと思う、間違いなく」

だが、それはどうでしょうか。放送が開始され、劇場版も封切られ、待っていた結果は「う、うん……」と頷くしかない現状です。

何故こうなったのだろう。僕は山本寛=ヤマカンという演出家を過大評価していたのでしょうか。彼は演出至上主義、だと言っていました。GAINAXを越せた、とも。

しかし今はどうでしょう。一緒に京アニを退社した吉岡忍さんはTV初監督作の『ブラック★ロックシューター』でCG特技監督に元GAINAXで『天元突破グレンラガン』を監督した今石洋之さんを起用、日常パートがOrdet(元京アニ組)が担当だったのに対し、異世界パートがサンジゲン(元GONZO組)が、制作協力にTRIGGER(元GAINAX組)であったので実質共同監督という言い方も出来るし、映像は限りなく京アニGAINAXの併合ともいえる作りになっていました。しかもその後、TRIGGERで今石氏が監督を務める『キルラキル』で絵コンテを務めています。しかもその出来は素晴らしい。ちゃんと今石風になっています。

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これですよ、これ。

おい、山本監督。吉岡さんに抜かれるじゃないか。

他にも元京アニ組では高雄統子さんが『THE IDOLM@STER』でこちらも元GAINAX錦織敦史監督と組んだ上、山本監督が『涼宮ハルヒの憂鬱』で務めた“シリーズ演出”なる役職を務めています。しかもこの人が演出やるとこうなるんですよ。

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第24話。まぁ、話が暗いのもあるんですけど、背景が山本監督に比べてどよんとしている。空を見上げたところもそうなのですが、ここはときがわさんのブログに詳しいのでリンクを。

http://d.hatena.ne.jp/tokigawa/20111217/p1

あと、アニメーターになるんですが、松尾祐輔さんがTV版『B★RS』やらないなぁ、と思っていたら『ヤマノススメ』をやってたんですが、『フラクタル』以後Ordetを離れたみたいですね。あと、この作品はほんわかゆるふわ系作品なので、演出至上ではないと思うのでここでは取り上げません。好きだけど。

もう一人は門脇聡さん。この人ほど演出至上主義である人はいないと思うんです。アニメーターなんですけどね。『ギルティクラウン』『進撃の巨人』などで総作画監督を務めているのですが、やっぱりキメ細かい作画で素晴らしいです。

閑話休題

山本寛監督の話に戻りましょう。

ここまで演出至上主義と言っておきながら「他の人に抜かれてるじゃねーか、何やってんだよ」ということを書いてみました。

あ、自己防衛の為に言っておくならこれは山本監督をdisる訳ではありません。

だって『フラクタル』好きですし。DVD買いましたし。初回版。

で、『Wake Up,Girls!』です。

何がダメかって言ったらあれしかないです。

こういうことです。

あと、震災後の空気を使いたいからか、お得意の空PANが生えてません。元京アニの坂本一也さんの方が生えていると思います。たとえば『フォトカノ』第4話。

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これに対して『Wake Up,Girls!』は暗い。色彩の問題もあるんでしょうが幾分暗い。『フラクタル』も話なりに明るかったのになぁ……。

 

これを払拭して、きちんと完結を観れるのか、Wake Up,Girls!

僕はそれが心配でなりません。