2015年1月に観た映画・OVAの記録

①山本蒼美監督『この男子、石化に悩んでます。』(2014)

 ストレスを感じることで石化してしまう男子高校生と、鉱石の好きな地学教師の交流を描いた「この男。」シリーズの第四作。一度商業ベースに山本監督が行ってしまったのでもうやらないかと思っていたらまたやってくれたので良かった(自主制作短編を見ただけだったので興味があったため)
 ストレスを感じる原因=自意識=クラスメートとの交流。それならば、着心地知れた地学教師の方が心休まるよね、というところが基礎にある構成で、独特な絵柄や色彩感覚も相まって二人のセカイを細やかに描いている。
 というかボーイズラブを石化結晶への接触という形に変えて描いただけだよな、これ。結晶への気持ちとか主人公への気持ちを変えただけなんだろ、そうなんだろそうなんだろ⁉︎で、最後は嫉妬か!二人のセカイから脱していく主人公の気持ちと引き止めて二人のセカイを維持しようとする地学教師の淡い恋模様、を描きたかったのですか山本監督。
 新海誠のアップデートを思わせる自主制作なのだけれど、男女交際ではなく男同士の友情(恋愛もたまに入る)を描くところが山本監督の作風であり、セカイ系のアップデートであるところが個人的には興味深い。有川浩塩の街』の塩化を猶予あるストレスによる形に変化させて、純情な形に作り変えたあたりは素晴らしいと思った。『メガネブ!』では作風や色彩感覚を共有しながらもセカイの話をせずにメガネの話に終始したことがダメだったのではないか、と改めて感じた一作だった。

 

水島努監督『ウィッチクラフトワークス』「多華宮君と妹の悪巧み」(2015)

 

本広克行総監督・塩谷直義監督『劇場版PSYCHO-PASS サイコパス』(2015)

 

高畑勲監督『平成狸合戦ぽんぽこ』(1995)

 高度経済成長の最中、ニュータウン開発によって住処を無くしてゆく狸たちが人間に報復しようと一念発起し隆起する物語。某ラジオ*1の影響で興味を持ったので借りてきたのですが、高畑作品を観るのはこれが初めてでした。というかジブリ作品あまり観てないんで……。
 主題歌を先に知っていたので結構コミカルなエンタメ作品なのかな、と思っていたらハードな社会批判がそこにはあって、ジブリの中でも僕が苦手な『風立ちぬ』の方向性だと感じました。あまりああいうの好きじゃないんです。ただ、堀越二郎のようにリアル路線の人物ではなく狸というカメラを使うことでポップさは保たれていたかなぁ、と。
 問題は解決せずに逃げしかない、という終わり方は現実とリンクしたものですから仕方ないんですが、そこに至る活動をもっと大々的な事件にしていれば結末も変わったんじゃないかなぁ、と思います。流石にみんなあんな出来た性格してないですし、本気で人間に怒っているなら最初のように殺害事件起こした方が効果的な気がするんですよね……調子に乗った狸の負けというか……。

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水島精二監督『楽園追放 -Expelled from Paradise-』(2014)

 

⑥雨宮哲監督『電光超人グリッドマン boys invent great hero』(2015)

 原作となる特撮ドラマを観てないんですけど、なんかなりきりヒーローものの枠を出てない映像になっちゃってるなぁ、と思いました。新たなる『サムライフラメンコ』というか……。


 

⑦堀内隆、江本正弘監督『ヤマデロイド』(2015)

 山寺宏一モデルの架空ボーカロイドのPVという位置づけでいいのだろうか。堀内さんは『PSYCHO-PASS』のEDで名前を存じ上げていたのでどんなフィルムになっているのだろう、と思ったらちょっと拍子抜けでした。というか、板野一郎監修でグラフィニカだったら、という期待が大きすぎたのかもしれない。

 

⑧吉浦康裕監督『POWER PLANT No.33』(2015)

 テーマ的には『サカサマのパテマ』と繋がりそうだけど、エネルギー問題を発端、というか舞台にしつつただのロボット×怪獣バトルもの。この企画の中では一番好きかもしれない。

*1:『矢作・佐倉のちょっとお時間よろしいですか』