たまには本気で好きなラノベを3つ紹介してみる③

①野﨑まど『【映】アムリタ』(2009)

自主制作映画に参加することになった芸大生の二見遭一。その映画は天才と噂されるつかみどころのない性格の女性、最原最早の監督作品だった。最初はその天才という呼び名に半信半疑だったものの、二見は彼女のコンテを読み始めた直後にその魅力にとりつかれ、なんと二日以上もの時間読み続けてしまう。彼女が撮る映画、そして彼女自身への興味が二見を撮影にのめりこませていく。そしてついに映画は完成するのだが――。第16回電撃小説大賞メディアワークス文庫賞〉受賞作。(メディアワークス文庫版より)

 表紙の最早とタイトルに映画とついていたので、思わず手にとり買ってしまったった本。これを読んで以降、メディアワークス文庫ばかり買い漁るようになるのは別の話だ。
 本作。映画好きの人も勿論そうだけど、バカヒロイン(精神的に)とか突拍子も無い話、最後のどんでん返しとライトノベル、SF、ミステリのいい所ばかり寄せ集めましたって感じ。作家さんの名前で言うなら更伊俊介さん・三崎亜記さん・米澤穂信さんみたいな。そんなように美味しいところをとって物語として成立してるかというと、きちんと綺麗なほどになっている。そこは流石賞を獲っているといったところ。ミステリといえばミステリなんだけどファンタジーといえばファンタジーみたいな。うまく説明できなくてすみません。それでもこの物語は美しい、精巧に作られた開かれている世界ということは断言できる。
 ということでアムリタ。きっとこの作者さんはとある作品が好きなんだなとか思ってしまったのは勘違いではなく、小ネタであるといいな。

 

大崎知仁『屋上探偵 -オクタン-』(2006)

部長命令で、有名な屋上のトラブルシューター・犬村元貞を取材することになった明斉館高校新聞部の月島周子。ところが会ってみると、果てしなくエロい俺様キャラ!!頭脳明晰!?眉目秀麗!?テーソーの危機におびえつつ、周子の“屋上探偵”密着取材がはじまった!(JUMP J BOOKS版より)

 何故これが評価されないのか僕には解らないんです。時代を先取りしすぎたのかもしれません。
 そんな本書『屋上探偵』の主人公は犬村では無く月島ちゃんの方。新聞部で部長に指令されるがまま月島は犬村の取材することになります。それが終盤、あんなことになろうとは……。ただのプレイボーイと思っていた犬村が月島ちゃんの為に潔く男らしい行動に出ます。凄くカッコいい。
 現在二巻までしか刊行されていませんが(他シリーズ執筆中だから?打ちきりじゃないと嬉しい)、是非三巻目も執筆・刊行して頂いてほしい、そんなライトミステリになっています。
 ラノベ好きな方は是非。

 

北島行徳『428 ~封鎖された渋谷で~』(2009)

すべては渋谷で始まった。各界から絶賛を受けた伝説のサウンドノベル『428』――脚本・北島行徳自らによる渾身の小説化!新米刑事、元チーマー、可憐な少女、製薬会社研究所長、そして謎の着ぐるみ……一見無関係の、街にひそむあらゆる人々の運命はLINKし、世界は滅亡から救われる――。総監督イシイジロウ全面協力――劇団・迷天使編を新たに書き下ろし!(講談社BOX版より)

 

 元はスパイク・チュンソフトより放たれたwiiサウンドノベルゲームです。こちらもプレイした方ならお分かりかと思われますが、止め時がもう解らないんです!面白いというより次の展開が気になりすぎて、下手なドラマより集中集中……。遂には12時間くらい連続プレイしてしまい1週間ほどで全クリア。ボーナストラック(本書には未収録。ボーナストラック2を基にしたTVアニメ『CANNAN』をご覧あれ)も我孫子さんだったり奈須さんだったり……。もう胸熱ですっ!
 本書はそんなサウンドノベルゲームの完全正解ルートをそのままイラストと共に新ルートを書き足してノベライズしたもの。新ルートで更に深まった“渋谷”をご堪能あれ!