加藤さんとデートじゃないの!――『冴えない彼女の育てかた』第5話「すれ違いのデートポイント」
脚本:丸戸史明 絵コンテ:神戸守 演出:岩月甚 作画監督:栗原優
原作範囲:第2巻第1章途中~第5章
第2巻は基本的に霞ヶ丘詩羽メイン回ですので、えりりんはどうしても不遇な役回りとなってしまいます。例えば、霞ヶ丘詩羽が「あ~ん」「もいっこ」とワードに書き込み、倫理君にポッキーを食べさせてほしいと強要するシーンでの鉛筆を折るという行為に現れた嫉妬心であったり、加藤と倫理君がデートだということを知った時に露わとなった嫉妬心であったり。なんだえりりん、嫉妬してばかりだな。
今回の第5話ですけど、オープニングアバンのえりりんカットから始まって、えりりんの可愛さが大きく取り上げられた回だったと思います。というか、霞ヶ丘詩羽も(もちろんメイン巻ですから)大きくフューチャーされてますし、今回の話はメインヒロインである加藤恵とサブヒロインズでキャラクターの対比を行う、というところに焦点が当てられたのかな、と思っています。
Aパートに登場する3人のクリエイターーー原画師とシナリオライター、ディレクターですが、今回の話において、どの役職も大きく“自分がクリエイターであるための信念”という点が描かれています。例えばえりりんが加藤を元にヒロインである加納巡のキャラデザを描こうとしていたシーンでは、自分の思い描いたキャラクター像を加藤という実在のモデルを用いてこの現実に100%描き起こそうという信念が現れています。霞ヶ丘詩羽のプロットを一夜で創りだすという描写も、自分の妄想と心理的外傷や過去をフィクションという二次元世界に封じ込めていく、という彼女なりの作風といいますか作りかたが如実に表れたいいシーンだと思います。そして、倫理君――安芸倫也が提出されたプロットを前にゴーサインが出せないというシーンですが、ここは自らが面白いと思っても、100%で満足してはダメで、120%、180%を創りだしたいという彼なりの信念がそこにはあります。まぁ、サークルの初作品でそれを要求するとは結構な鬼畜ですねw
そんな彼らの信念と対比されるのがBパート、六天場モールでの加藤恵です。まぁ、メインヒロインですので大半の人は「加藤かわいい」だと思うんですけど、ここには流動的なモブキャラーークラスメートでも比較的地味な感じの女の子――の像が現れていて、信念とかはあるんだけど別にそこまで出さないよ、みたいなやわらかい雰囲気が醸し出されていると感じます。ヒサゴプランさんのブログを引用しますと、まさにそこには乙女ゲームの主人公のようなキャラクター像がありまして――まだ何色にも染まっていないけど、君の話についていけるように何にも偏見はないし許容できるよ、みたいなやつですね――それがあるからこそ、加藤は“冴えない”のだけれどサブヒロインにはないキャラクター性を保有している。それが上手く対比として描かれているのがこの第5話なのかな、と。
まぁ、この原作消化具合ですと、えりりん回が来ないので怖いです。丸戸先生、よろしくお願いします。
冴えない彼女の育てかた~egoistic‐lily~ (1) (カドカワコミックス・エース)
- 作者:にぃと、丸戸史明
- 出版社:KADOKAWA 角川書店BC
- 発売日:2013/07/03
- メディア:コミック
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あ、あと余談です。
2/19の23:00~行うUstreamですが、後半00:00~の一時間、一人語りのお題を募集します。よろしくお願いします。