ここまで僕が推してきた意味を見出させておくれ――亀井幹太監督作品『冴えない彼女の育てかた』

 高校二年生の安芸倫也は、自分のオタク活動費を稼ぐバイト中に通りかかった坂である女の子と運命的な出会いを果たし、その出会いを元に同人ギャルゲーを作ろうと、幼馴染で美術部のエース、そして同人サークル・egoistilc-lilyの看板作家である柏木エリこと澤村・スペンサー・英梨々と、才色兼備の学園一の美女でありながら天才ライトノベル作家である霞ヶ丘詩羽に企画を持ちかけるも相手にされない。その上、運命的な出会いをしたはずなのにその女の子の顔を覚えていない倫也。しかしそれはその女の子=加藤恵が冴えていなかったから。埋没していたから。そんな加藤のことを名前を知った倫也はメインヒロインとして育成することに決める。

 

 全話が終了いたしまして、もう放心状態のまま第0話を観返しておりました。第12話から第0話へとループループで、いつまでも観ていられるものです。ただ悲しいことに放送外地域でそれをやるにはdアニメストア以外の手段だとフジテレビオンデマンドで個別課金という形しかないんですね、何故か第0話だけノイタミナ観放題のサービス外という状態でして、それはちと間違っているとおっもいますのでフジテレビさん改善のほどをよろしくお願いします。あと、ソフトバンクさん、アニメ放題でも配信してくださいね。キングレコードさんと組んで『WHITE ALBUM2』もよろしくお願いします。

 さて、本作は丸戸史明さんが初めてライトノベルという媒体に挑んだシリーズの第1巻~第4巻とFDの内容を原作として本人が脚本を担当した作品です。原作を2013年夏に手に取って以降ファンを続けていましたが、まさかのノイタミナ枠でアニメ化。元々ノイタミナファンであった身としては複雑な思いを抱きつつも、聖地巡礼や先行上映会、コラボイベントなどにも足を運び、BDのマラソンをするほどになってしまいました。それほどにかつてない衝撃を受けた作品だったりします。

 というのも、自分がどのキャラクターにも感情移入が出来た、という面が大きかったりします。確かにこの作品を「上っ面だけ」見ていれば「あぁ~ヒロインが可愛いんじゃぁ~」で終わってしまうただのラノベ原作ブヒアニメなんですが、個人的にはクリエイターの思いの丈を綴った作品であると感じています。「綴るッ!」ではない。主人公の倫也にしろ、英梨々、詩羽、出海、伊織、美智留、はたまたアニメ未登場の真由に至るまで、彼ら彼女らは各々クリエイターとしての意地と根性がある。それがセリフや行動に表れていて、何気ない動作でも何気ない行動でもそれがよく伝わってくるし、響いてくる。そういうところが本当に大好きでたまらないです。僕も脚本とか書いたりして少し齧っているので本当にそういった点が面白いなぁ、と感じています。

 この物語は二通りの見方が出来て、一つは順当にラブコメとして、二つ目はクリエイターを描いた物語として。後者は前に述べたとおりで、前者はホントに堪らない、もどかしい恋模様。丸戸作品のお約束ともいえる「物語開始時点でヒロインは攻略済み」というような設定下において、再攻略とヒロインの設定をしながらゲームを制作するという展開、ナイスとしか言いようがありません。素晴らしいです。英梨々が可愛くて仕方がない。

 ただ惜しむらくはノイタミナなので第2期の可能性が他の枠に比べて低いことです。このまま終わると原作屈指の名シーンの連続が拝めない。是非そこを映像化してほしいなと思いつつ、最終回直後に毎日放送で公開された7月クールの丸戸最新作『CLASSROOM☆CRISIS』を期待しています。

 最後になりますが、丸戸先生、亀井監督をはじめとしたスタッフの方々、本当にありがとうございました。

カラフル。(期間生産限定盤)(DVD付)

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