2015年冬アニメランキング(超個人的だから恨まないで)

 今夜、ヒサゴプランさんと冬クールの総括をするのですが、そんなに数観てないんですよ。というのも、面白い作品は結構あったんですが、何分『冴えない彼女の育てかた』ばかり観ていたので、それだけに何作もの労力を注いでいたために本数少なくなってしまいまして。だから今から少ない本数を羅列しますが、まだ観ていない『ローリング☆ガールズ』や『アルドノア・ゼロ』などの作品を入れてはいませんので、恨まないでください。また、好きな作品が下位だとしても恨まないでください。

 

キュートランスフォーマー 帰ってきたコンボイの謎

 ダテコー作品大好きなんですよ。というか、『トランスフォーマー』という題材――ハリウッドの名作が存在する作品群において、いかにギャグアニメ、及び『キュートランスフォーマー』の販促をするか。その過程で石ダテコー太郎監督とDLEに任せるという選択は間違っていなかったように感じます。アドリブによる会議を経て、『コンボイの謎』とはいったい何なのか、『コンボイの謎』は本当にクソゲーだったのか、という(正直どうでもいい)疑問を軸にここまで話を膨らませる才能は素晴らしいものだと思います。まぁ、こんなアニメにマジになっちゃってどーするの。カタルシスなんてないんだから。

 石ダテ監督が男性声優をメインに配置してアドリブを行うのは本作が初めて、と思われるのですが、今作は細谷佳正さんのアドリブを楽しむ作品だったのかなぁ、とも。あと、片山福十郎さんを久しぶりに観れて嬉しかったです。

 

冴えない彼女の育てかた

 もう何度語ってるか覚えてないんですけど名作ですよね、ハイ。今更語ることではないと思いますけど。とりあえず以下に冴えカノの見方解説を貼っておきます。

 まず、冴えカノはラブコメとしての見方と創作ドキュメンタリーとしての見方がある。まずラブコメの方から行くが、普通に見たらかわいいのに地味で目立たないから冴えないと主人公に評されたヒロイン・加藤恵を中心にしつつ、周りには属性にまみれたヒロインが配置される。ここで主人公のオタク・安芸倫也加藤恵と運命的な出会い(クラスメートだが記憶になかったためそれを出会いとする)を期に、その出来事をギャルゲーとして、その加藤恵をメインヒロインとして、制作するために他のメンバーを呼ぶことにする。要するにサークルメンバーを呼んで同人ゲームを作る。

 そこで呼んだのが、幼馴染みで金髪ツインテールの美術部のエースである澤村・スペンサー・英梨々(裏の顔は壁サークルエロ同人作家・柏木エリ)と学校一の秀才である霞ケ丘詩羽(裏の顔はライトノベル作家・霞詩子)。この二人(続いて登場するヒロインたちも)表と裏の顔を持つ二面性があるキャラクターとして描かれているけど、加藤恵だけは実にフラットに一面で描かれるんだけど、主人公と出会ってからタイトル通り加藤恵がヒロインとして属性力を高めていく。

 もう原作第6巻から第7巻になるときには加藤恵がメインヒロインとして属性力を発揮してるんだけど、それを育てているのは主人公だけではないし、もちろん一筋縄ではいかない波乱もある。最初にラブコメって言ったけど、ラブコメに誘うのはえりりんや霞ケ丘詩羽のようなサブヒロインでメインヒロインはラブコメに派生しない。だけど想いがあるのは確実だし、そこが他のラブコメライトノベルとの違いに感じる。

 創作ドキュメンタリーの面から触れると、バクマンや白箱みたいに仲間たちが力を合わせて一つの作品を作る物語なんだけど、発端が加藤恵との出会いである上にそもそも一消費型オタクでしかなかった倫也がいきなり凄腕クリエイターを引き連れておきながら自分がディレクターを担当するわけで、消費型オタクから生産側オタク=クリエイターに成長する物語としても見れる。

 以上冴えカノの魅力を掻い摘んでみました。

 

四月は君の嘘

 いや、良かったですねホントに。泣きましたよ、ガチで。これは多くを語らないことにこそ美学があると思います、モノローグ抜きで。とはいえ、もうUstreamで語ったんで単に今やかをちゃん尊いくらいしか感想が出なかったりする訳ですが。

 

SHIROBAKO

 お仕事もの、って主人公たちが輝くと思うんです。無知から飛び込んでいって、幾つものトラブルに巻き込まれて。でも最後には白箱という形で今迄の成果が出来上がる。ただその過程から妥協してしまう人も出るし、輝かしい未来しか見つめない人も出てくる。それは人それぞれですし責める場所は無いですが、そういった明と暗を描ききった本作は絶賛に値します。
 ストーリーですが、1話1話が濃密でよくこの物語を切り取れたなぁ、といった感じです。武蔵野アニメーションという会社を宮森らの視点から見つめたときにどのポイントを切り取るか、というのは結構難しいことだと思います。普通に考えれば今描かれたこと以外にもたくさん描くべきことはありますから。ただ、どのポイントを取捨選択して物語を紡ぐか、という命題にも素晴らしい采配で決めてきたなぁと感じました。コミカルとシリアスの配分が上手いんですよね。エンゼル体操やゴスロリ様のバッティングと原作者との対面のシーンをそれぞれ一気に観たら同じ作品と思うのでしょうか?
 また、それに伴ってアニメーターも全力を注いでいたのが印象に残っています。井上俊之さんであるとか敏腕アニメーターが馬やキャラクターの作画を力強く描いていて言葉を無くすほどに感動してしまいまして。キャラクターたちのモデルやネタを知っていると更に楽しめる部分も多く庵野秀明監督だったり野上武志先生のあたりは思わず笑ってしまいました。
 冬コミで二次創作を書いたのですが、それほど本作は面白く、来週からも「ツーピース」編をやって欲しいほど。とはいえ夏期にP.Aはあの麻枝准の新作『Charlotte』が控えておりますので、本作はそのあとでも構いません、いつか再び宮森らの物語が紡がれることを期待しています。

 

デス・パレード

 アニメミライ2013って神回としか言いようがない素晴らしいラインナップだったのですけど、その一篇『デス・ビリヤード』がSFとして良作でして。まぁ、それを観たのもTVシリーズになるからという理由だったのですが。それはさておき。
 前作がリドルストーリーとして完璧な作品だっただけにTVシリーズになることで無駄に語っちゃっている面があってそこは残念でした。転生・虚無のどちらに向かうかは視聴者の想像にお任せします、というスタンスが面白さを産んでいるのではないか、と感じていたために第2話は微妙というか。謎が謎を呼ぶのがいいのに、明かしちゃうのかこんな序盤で、と……。
 ストーリーライン自体は面白かったです。立川監督が副監督として入っていた『残響のテロル』では人間は全知全能になれるか、という問いがあったように思うのですが、本作は人とはいかに動物なのか、という問いにも近かったように感じます。『アラタなるセカイ』での未来に希望は遺せる、といったテーマのアンチテーゼにもなっているんじゃないか、とも。
 立川監督が原作監督脚本を担当したので立川監督の作家性を表した傑作になっていると感じていますが、出来ればまた違う扉が観たい。そんな一作でした。

 

アイドルマスター シンデレラガールズ

 まだ放送中なので何とも言えませんがロックですねぇ。

 

幸腹グラフィティ

 アニメーション制作がシャフトなんですよ、これ。いや、別に嫌いじゃないですし『電波女と青春男』とか『化物語』とか好きですけど、最近のシャフト作品って過去の演出を使いまくっているだけ=新たな演出を生み出せないスタジオになっている気がしていまして。特に『ニセコイ』は酷いなぁと思ったりしたわけです。で、今作も例に違わず見始めたあたりは「あぁ、つまらねぇ」と感じていました。今も惰性で観ていた感は拭えませんしその思いが続いているのは確かですけど、シリーズ構成岡田麿里と、椎名さん役小松未可子には参りました。だって好きなんだもん。
 正直な話、メシをメインにしている作品って多々ありましたけどどれも食欲そそられなくて、これもそそられなくて。そういうところはいくら新房総監督がこだわりを持っていてもアニメの限界があるのかなぁ、と感じます。『孤独のグルメ』を越せる飯テロアニメをいつか観たいものです。
 ストーリーとしては、モノクロだったリョウの人生がきりんと出会ってからカラフルに色付いていく、というものでそこに料理という要素で心情を表現した、というのは上手いなぁと。料理って記憶とリンクさせられるアイテムの上に味覚を刺激して感情を演出するのに適しているのでそういったところではかなり面白かったです。椎名さんかわいいし。
 まぁ、シャフト以外でやったら順当に面白かっただろうなぁといった感じになってしまったので、シャフトはまた新たな扉を開いてくれることを望んでます。というか天才尾石達也はどこに行ったんですか?『傷物語』ですか?

 

艦隊これくしょん -艦これ-

 個人的な感想を言いますと、僕の観たかった艦これはこれじゃない!ってのが真っ先に挙がる作品でして、パラオ泊地所属の一提督の目線から言えば赤城さんが食べてるだけ、とか那珂ちゃんが歌うだけ、とかそういう息抜き回があればよかったなぁ、と。戦闘描写が嫌いとは言いませんし、艦娘に旧日本軍の軍艦の名前を付けるわけですから、戦闘をする意味もありましょう。特に最終回あたりの「頭の中で何かが」という言葉は原作からありましたけど、まさか「脳内でゴーストが囁く」的な意味で使われてくるとは思いもせず。そういうところもあるので、まぁ戦闘に文句はないです、少なくとも戦闘理由についてはね。

 ですが、話数を経る毎にご都合主義と言いますか、「え、そんな結果で良いの?」とか「そこでキマシはいらねぇンだよ、大井っち!」と思わなくもなかったり。別にハッピーエンド嫌いなわけじゃないですし、大井が嫌いなわけでもないです。推し艦は赤城です。とはいえ、物語としてどうなの、みたいな疑問が拭えないんですよね。

 特に第3話の轟沈に何の意味があったのだろう、とか。まぁ、その後の展開において「沈まない。だって帰る場所があるから! 悲しませたくないから!」みたいな理由を付与することには可能ですし、実際そういう意義があったのかもですけど、正直必要だっただろうか、と。

 まぁ、続編決定とかいうコラみたいな文字も出ましたし、そちらではもっと良くなっていればなぁ、と思っています。戦闘描写はせっかく橋本敬史さんいるんだからエフェクト使いまくってさぁ……。

 

『みりたり!』

 連続歩調ー! いちに! いちに!