ゴールド金賞、ダメ金、マウスピース、チューニングOK?――『響け!ユーフォニアム』第1話「ようこそハイスクール」

脚本:花田十輝 絵コンテ・演出:山田尚子 作画監督:秋竹斉一 楽器作画監督高橋博

原作範囲:第1巻31ページまで(但し改変アリ)

 遂に始まりました、『響け!ユーフォニアム』。京アニの前作である『甘城ブリリアントパーク』に裏切られてから僕今作にも「どうせ原作を潰してくるんだろ?」と期待はしていなかったんですが、まぁ改変あれど結構いい感じになっていまして個人的には最高の入りじゃないかなぁ、と思っています。まぁ、『甘ブリ』のときも第1話時点では「良い」とか言ってたんで、第2話以降どうなるかは定かではありませんが……。

 まず冒頭、京都府吹奏楽コンクール中学生の部(たぶんA編成)の件。ゴールド金賞、金賞、銀賞、銅賞に分類されているのですが、金賞とゴールド金賞の違いは次の大会に進めるかどうかです。僕が吹奏楽部でチューバやユーフォニウムを吹いていた時代の微かな記憶を頼りに書いていますが、アニメ『響け!』のように紙で発表、という形ではなく一校ずつ「1番、〇〇市立〇〇中学校、銅賞」みたいな形で言われていたはずです。ただこれはアニメの舞台である京都府ではなく僕の住んでいる静岡県吹奏楽コンクールでの話ですので、実際は異なるかもしれません。それに数年前の話ですしね。僕の学校はゴールド金賞を獲って県大会に行ったことはありますが、そこで銀賞で終わりました。そんな記憶。

 続いてマウスピースを吹く葉月ちゃんの描写。葉月ちゃんが持っているのは結構大きくて重いマウスピースです。というのも、彼女は今後チューバを担当するから(これは公式サイトに載ってるしEDでも持ってるからネタバレじゃないよね?)。チューバにしろ何にしろ基本的には唇を振動させることで楽器を吹くことになります。ただ、唾溜まるんですよね、それだけはイヤだった。あと結構肺活量使いますし、最初のうちは唇が痺れます。振動させる為に唇の筋肉を動かすので、そこが痺れるんですよね。ちなみに僕は引退して早三年半経ちまして、少し吹くだけでも唇が痛いです、ハイ。

 あと触れておきたいのは新入生歓迎の「暴れん坊将軍のテーマ」。あぁいう定番曲を吹くと結構滾るものです。ですが、あの演奏は誰が聞いてもダメダメな、音程とテンポズレまくりの演奏でしたねw そのあとチューニングの描写もありましたが、チューニングできちんと合わせておかないと(僕の学校は443HzのB♭で合わせてました)気持ち悪い湿った演奏になってしまいます。そこをちゃんと合わせた上で吹くのがまず最低ラインなので、今の北宇治高校はレベルが低い、と久美子ちゃんも思ったことでしょう。

 と、ここまで解説的なものを書いてきましたが『響け!』は原作を今2巻まで読み終えたんですが本当に素晴らしい青春物語になっているので、それがアニメとして音と絵を兼ね備えたときどうなるか、期待しています。山田尚子さんが第1話は絵コンテ演出でしたが、僕はああいった雰囲気大好きなのでこのまま駆け抜けてもらいたいものです。

 というか原作者の武田綾乃先生は同志社大学の現役生なんですね。なんか衝撃を食らいました。

宇治舞台に吹奏楽部の青春描く 同大生で作家の武田さん : 京都新聞

 

 追記。

 吹奏楽小説には他にも良作があるぞ、ということで少しばかり薦めてみようと思います。

 まず、矢口史靖監督が自らの映画作品をノベライズ化した『スウィングガールズ』。ジャズのスウィング感とか、これが青春!って感じがして素晴らしい作品ですよね。

 続いて山口なお美さんの『グラツィオーソ』。これも爽やかで、共感できる素晴らしい青春小説でした。

グラツィオーソ (アルファポリス文庫)

グラツィオーソ (アルファポリス文庫)

 山本寛さんの『アインザッツ』。正直筆力が追い付いていない部分もあるんですが、雰囲気が凄く伝わってきます。あと、付属で天野正道先生作曲のスコアとCDも付いてきますのでそれだけでも楽しめます。で、学研は早く吹奏楽雑誌『アインザッツ』の次を刊行してください。

アインザッツ

アインザッツ

 とりあえず三冊、ということで。オーケストラ小説とかだったら本数増えるんですけどね……ひゃあ。