僕がアイドルオタクである理由(わけ)――『はじめてのももクロ』に見るドルオタ的雑感

 「アイドル」。それは男性女性問わず、輝かしい舞台を目指し切磋琢磨しながらもファンを魅了し続ける魅惑の存在/象徴である。僕自身、その面白さにハマったのは2011年のことだ。テレビの歌番組でももいろクローバーZが「労働賛歌」を歌っていたのをふと目にしたことが出会いである。

 この瞬間、僕は魂が打ち抜かれていたのだ。作詞が大槻ケンヂということに惹かれたのでもなく、元々この番組をNICO Touches The Walls目当てで観ていた、ということでもなく、ももクロの面白さというものに気づいてしまったのだ。

 その翌月――2012年1月からは『モーレツ宇宙海賊』というアニメにおいてももクロが主題歌を担当した。その楽曲、「猛烈宇宙交響曲第七楽章「無限の愛」」は再び僕の心を貫いていた。それを聴いた自分はこんなことをTwitterに残している。

 たった三ヶ月でここまでである。極度のハマりようだ。ちなみにこのころからももクロが出演するテレビ番組は極力観るようにし始めた。ただでさえ地方は少ないので*1その面白さを追うためにはとりあえず観よう、という気概でいた。

 ちなみに2012年の紅白歌合戦時にはももクロ熱が高まり過ぎて、ももクロ出演時にTwitterの規制に遭い呟けていない、という状態が発生していた。異常である。ここまでアイドルにハマったのはこれが最初で最後であろう。脱退した早見あかりの存在を紅白の舞台まで持ってきた。それだけで涙していた。

 だが、この後2013年になると僕はももクロだけに飽き足らず、他のアイドルグループに興味を持ち始めた。そう、ももクロは紅白出場という結成当初からのストーリーがの完結し、蛇足感を感じ取ったからだ。そこで僕はAKB48乃木坂46アフィリア・サーガ東京女子流、乙女新党、でんぱ組.Inc、SUPER☆GIRLSなどありとあらゆるアイドルグループの情報を仕入れ、ライブ映像を観て、という生活をループした。

 この後、ももクロ熱は一旦冷める。前述のようにストーリーラインに蛇足感を感じた、というのが最大の要因であったからだ。しかし、2014年夏に再び再燃する。

 『幕が上がる』、である。

 僕は地元で敬愛する本広克行監督最新作のエキストラ撮影があると聞き、参加した。あくまで監督目当てでしかなかったのだ。しかし、その場でももクロと初めて出会う。たった数メートル先にももクロがいるのだ。あーりんに手を振るとれにちゃんが返してくれた。嬉しい。かなこが楽しそうにしている。嬉しい。有安がこっちを向いている。嬉しい。しおりん。嬉しい。

 そこで僕は再燃したのだ、ももクロ愛、ドルオタ魂が。

 『幕が上がる』はその映画単体では完結しない。『幕が上がる』『幕が上がる、その前に』『はじめてのももクロ』、そしてそれら全てに捧げる思いがあって完成する映画だったのだ。

 『幕が上がる』については2回も、Ustreamで120分を超える生放送を行ったが、そこでは「ももクロがそこにいる感覚」であるとか、「青春の意義」などを語った覚えがある。実際、ももクロは「今会えるアイドル」=週末ヒロインとして活動してきた。その「そこにいる感覚」を感じた経験。そして誰もが通る青春を自らアイドル活動に捧げてきたももクロ。この思いが重なってこの映画が完成したのだ、ということにようやく気付かされた。

 そう、ももクロは紅白以後が蛇足じゃなかったのだ。

 あれは序章だったのだ。

 国立競技場は第一章でしかなかったのだ。

 まだ彼女たちは道半ばであり、先の見えない物語の途中だったのである。

 今回、『幕が上がる』『幕が上がる、その前に』『はじめてのももクロ』という三本を経て、彼女たちは第二章を終えた。これからが本番だ。

 僕は彼女たちの冒険に興味を持ち、それを追い続ける。それはアイドルオタクになった理由であり、今それを続ける理由でもある。

走れ!

走れ!

 

 話は変わるが、以前『アニバタ』というアニメ評論同人誌のVol.11に「2010年代型偶像の形 -物語性の向こう側へ-」と題したアイドル評論を書いた。その号の特集は「2010年代のアイドルアニメ」だったのだが、他の寄稿者とは違い現実のアイドルについて深く語っている。アウトラインを要約すれば現実のアイドルとアニメアイドルを比較しながら、今後のアイドルの物語性を考え、“次”に行くときにはどうするべきか、ということを書いた。こちらもお読みいただければ幸いである。

アニバタ Vol.11 [特集]2010年代のアイドルアニメ

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*1:当時はまだ『ももクロChan』も未ネットだったのだ