「祷りなんて全ては止して」公開

どうも羽海野渉です。どうにかして生きております。
さて、先日、僕が作詞を担当した楽曲である「祷りなんて全ては止して」が公開されました。作曲は2012年に僕が制作したゲーム『星降る世界で』以来のご縁となる双茂史人さん。歌ってくださったのは初めてのご縁となる餅よもぎさんです。
今回の曲は珍しく双茂さんから依頼されるというパターンで、加えて既にメロディが出来ているという状態からのスタートでした。ですので、依頼された時点でもう世界観が出来上がっている、ということで。僕の課題はこの世界をいかに崩さずに、作詞出来るか、ということにありました。『星降る世界で』のときには無茶を言いまして(全ての劇伴曲を吹奏楽調にして、とか。まだあの頃は何も怖さを知らなかったから……)、その恩返しの為にも一発決めたりゃならん!という訳で。
双茂さんから提示されたテーマがいろいろありまして。丁度、この依頼を受けたとき、巫女もののゲームのシナリオを書いていたので(というか現在進行形で書いております。遅くなって申し訳ありません関係者各位)、流石にずっと巫女のことを考えたくはなく巫女ものはスルー。となると、伝奇モノは見逃せなく、そこから連想された『空の境界』などの伝奇作品のイメージを重ねて作詞へ入りました。あと、Twitterでも触れましたが、ALI PROJECTの影響も多分に受けています。双茂さんも受けているらしいです。
結果……。
第一稿は全ボツですってよ奥さん!
まぁ、ちょっと双茂さんとの方向性がずれていたのとリズムとの兼ね合いが効かなかったとかの諸般の事情で。
とりあえず、内容は全くと言っていいほど違うので、ここに貼り付けることにしましょう。
「だいだらぼっちの夢の中」
甘美な感情 華やかな花伝廊にて
ひたすら祈った 幼気な少女は
(この運命を変えるならば
命を堕としても無駄ではないわ
いっそこの命と引き換えに
永遠を夢見ようかしら)
花びらひらり 舞い降り
嗚呼……(黙示録なんて燃やして生き永らえねば)
私のこの想い
嗚呼……(主君の下にて一生尽くして居られたら)
夢は叶うのだろうか?
否……
確かな幻影 不確かな形見い出て
ひたすら縋った 純粋な処女は
(瞳に映るものが確かならば
我はそれを願ったというのか?
きっとそれが本心なのだ
自分を騙すなど反吐が出るわ)
泪がぽろり 飛び散り
深紅の林檎 割れ去る
嗚呼……(割れた林檎は世の理を映していくの)
歪な蜃気楼
嗚呼……(誠と虚はだいだらぼっちの夢の中)
其れを掴むのだろうか?
暫しお暇頂戴……
ほら、違うでしょう?
しかもコーラスが入っているとか台詞があるとか色々違うところがありまして。
で、ここで双茂さんに言われて初めて気づいたことがあったんです。
3. 「華やかな花伝廊にて」について
(前略)畑亜貴さんの造語のようです。恐れをなして、他の案をお願いします。
恐ろしき、畑亜貴の呪縛!ゼロ年代のアニメを見て育った羽海野くんは畑亜貴の呪縛からは抜けられないようです。
と、いうのも花伝廊というのは『刀語』の2010年版の方の初期オープニングテーマに出てきた単語で、そのままあるものと思って使ってたんですね。それがまさか造語だったとは……。畑亜貴恐るべし、です。ちなみに、僕は畑亜貴作品の中で一番驚いた歌詞は『りある_りあるが_あんりある』の歌詞です。作曲は神前暁さん。
閑話休題。そんなエピソードがありまして大幅に修正して第二稿を提出。その後、ちょっとの修正をして第三稿が完全稿と相成りました。
ということで出来上がった「祷りなんて全ては止して』ですが、フリー音源ということになっています!是非、USTなりニコ生なりで流したりしてください。流した際は教えてくださると喜びます。何しろ、歌手さんや声優さんには作品の感想は集まるのに、作詞や脚本家には集まらないもので、ちょっとジェラシーを感じております。 

次回作は多分、このままいけば前述のゲーム作品です。目指すは6月のサンクリ、らしいです。タイトルは言っていいのかよくわからないけど、xinoro さんの『巫女学校物語』シリーズの第四作となる『楓編』です。キャラソンからの登板、しかもシリーズ第四弾という途中登板もいいところだろ、という感じですが。既に本編は脱稿済みです。残すはサブシナリオのみ。なんというか、『フラクタル』の東浩紀さんとか『すいか』の木皿泉さんみたいなスタンスで(あと『銀盤カレイドスコープ』の高松信司監督とか)やっております。わかる人にはわかる。ここら辺の裏話は無事発売した後にでも語って行きたいと思います。
それではまたの機会に。