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何故倫理君の部屋に『オタリア』があるのか――『冴えない彼女の育てかた』第2話「フラグの立たない彼女」

脚本:丸戸史明 絵コンテ:神戸守、亀井幹太 演出:柴田彰久 作画監督:梅津茜、瀬川真矢、荒川絵里花、広尾佳奈子、長尾祐希子

原作範囲:第1巻第2章~第4章 

 昨夜放送の『冴えない彼女の育てかた』は原作とは異なるアプローチでサークル結成に至るまでのゲーム企画制作、そして恵をメインヒロインにさせるためにゲームをさせる、という展開が描かれました。原作読者としてはえりりんが飛び込んできてオタクだと発覚するシーンとか観たかったんですが、そもそも第0話でオタクだと説明していますしその必要もなくコメダ珈琲店での説明で終わらしてしまったんでしょう。ただ簡略化していて、原作とは違ったシーンを描いているところは個人的に好きです。

 さて、その第2話――というか先週の第1話もですが、倫理君が図書館に入れたライトノベルの本棚のラインナップの話です。何冊ものファンタジア文庫作品が置かれている本棚ですが、タイトルに注目してみると、一冊だけアニメ化していないタイトルーー恐らくアニメファンは把握していないであろうシリーズの名前が飛び込んできます。村上凛著『おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!』です。

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 このカットですね。他に本棚に挿されているファンタジア文庫は『生徒会の一存』『ハイスクールD×D』『甘城ブリリアントパーク』『デート・ア・ライブ』といったアニメ化されたシリーズと、ヒロインである霞ヶ丘詩羽が霞詩子名義で書いた『恋するメトロノーム』です。『生徒会の一存』については原作小説でも『自治会の独断』として言及されていますし、ここに挿されているものは倫理君に多大な影響を与えたシリーズと考えて問題ないでしょう。

 では、ここで『オタリア』が挿されているのか、です。まず第1巻の表紙裏に書かれている紹介文を読んでみましょう。

 高校入学をきっかけに、俺は「隠れオタク」になって、平和な学園生活を謳歌すること、そしてあわよくば、清楚で可愛らしい彼女を作ってリア充になると決めていた――はずなのに。全てはあいつ、恋ヶ崎桃のせいだ。ギャルで、横暴で、スイーツ(笑)、確かに可愛いけど、オタクになんか興味なさそうなあいつを、なんで俺がオタクになるための協力をすることになってんだよ!

 萌えアニメを見せれば、「ねぇ、これいつ面白くなんの?」秋葉原に行けば、「うわっ何なの、このエロい絵とか……」最終的には「マジキモいありえないんだけど!」なおまえがオタクになれるわけねえだろ! あと俺とのあの約束はどうなったんだよ!

村上凛おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ!KADOKAWA富士見書房〉、2011年、裏表紙)

 内容としては『冴えカノ』に近しく、オタクでない女の子とオタクである女の子と一緒に創作活動をして、コミケに行き、といったライトノベルです。現在は第1部が終了し10巻と別ルートが1巻出ています。一応、全部読んでますが基本的には面白かったです。来月刊行の第11巻も期待しています。あと新シリーズの『オレと彼女の萌えよペン』もね!

 閑話休題、何故倫理君は図書館に推すまでのラインナップに『オタリア』があるのか、というと倫理君もこの作品の主人公のようにヒロインと接触したことで創作意欲に火がついた、という意味と単に境遇が同じ主人公の話で共感した、というパターン、そして富士見書房が『冴えカノ』がヒットした際の次弾として用意している伏線の三つが考えられます。というかシチュエーションとか結構似てるんですよねこの二作品。そこをライトノベルに寄せるか(難聴系主人公)、リアルなオタクに寄せるか(ウザいほどに作品愛を語る倫理君)の違いが大きかったのかな、とも。

 是非、『冴えカノ』ファンの方には『オタリア』も読んでその二作品の違いを実感してほしいです。……ちょっと投げやり?